働き方改革により仕事と家庭の両立が一般的になってきている日本で、それらを支援するための制度があることをご存じでしょうか?
従業員のために、職場の環境を整えたいとお考えの企業様もいらっしゃるかもしれません。
そこで本記事では、仕事と家庭の両立を支援する両立支援等助成金とはなにかを紹介します。
両立支援等助成金の種類の特徴も紹介するので、詳しく知りたい経営者様はぜひ最後までご覧ください。
両立支援等助成金とは?
両立支援等助成金とは、仕事と家庭の両立をするために厚生労働省が行っている支援制度のことです。
働き方改革が進められている日本では、男性の育児休暇や育児休業、女性の活躍を推進するための取り組みが行われています。
そこで、従業員が仕事と家庭を両立させられる職場環境をつくるにあたって、利用できる支援制度が両立支援等助成金です。
両立支援等助成金を申請するためには、育児や介護の休業・休暇を取得しやすい環境を作っていく必要があります。
また、両立支援等助成金を申請するまでに、一定の生産性要件をクリアしていた企業には、支給される助成金が割増されます。
生産性要件
生産性要件とは、職場の労働生産性を向上させた企業には助成金の割増がされるという要件のことであり、さまざまな助成金に設定されています。
両立支援等助成金には主に5つの種類があり、それぞれのコースで生産性要件を満たしていれば、助成金の金額が増えます。
助成金の割増のために満たさなければならない要件は、以下の2つです。
① | 助成金支給のための申請を行う直近の会計年度の「生産性」が3年度前に比べて6%以上伸びている、または3年度前に比べて1%以上6%未満で伸びていて、金融機関からの一定の事業性評価を得ていること |
② | 過去3年間で、雇用する雇用保険被保険者を事業主の都合で解雇等していないこと |
これら2つの要件を満たしていれば助成金が割増されるため、事前に確認しておきましょう。
両立支援等助成金が注目される理由
両立支援等助成金が注目されている主な理由としては、共働き世帯や高齢者が増えたことです。
現在の社会情勢では、夫婦がそろって仕事をするにあたって育児の負担がどちらかに偏らないように、仕事と家庭を両立させることが求められています。
また、少子高齢化が進んだことにより、仕事を続けつつ介護を行わなければならない人も増えているため、仕事と家庭の両立が難しいことが問題視されています。
そこで、仕事と家庭の両立をするために厚生労働省が行っている、両立支援等助成金という制度が注目されています。
両立支援等助成金を利用することで、仕事と家庭の両立に対して理解のある企業だというイメージをアピールできるため、求職者の応募も増える可能性が高いです。
両立支援等助成金を効果的に活用することが、重要だといえるでしょう。
両立支援等助成金の種類
両立支援等助成金には、主に5つの種類があります。
どのような特徴があるのか、それぞれの種類別に紹介します。
さらに詳しい内容に関しては、厚生労働省が公開している「2022年度両立支援等助成金のご案内」を参考にしてみてください。
参考元:厚生労働省「2022年度両立支援等助成金のご案内」
出生時両立支援コース
出生時両立支援コースとは、主に育児に関する休暇制度が利用しづらい男性の育児休暇や育児休業の取得の促進を目的とする制度のことです。
子育てパパ支援助成金とも呼ばれるこの制度は、男性が育児休暇や育児休業できるように業務体制や職場の環境を整え、従業員に育児休業を取得させた事業主に支給されます。
また、出生時両立支援コースは第1種と第2種に分けられており、助成金の支給にはさまざまな要件があります。
第2種は、第1種をすでに受給している事業主が対象です。
介護離職防止支援コース
介護職防止支援コースは、仕事と介護を両立する方の支援を目的とする制度で、中小企業の事業主が対象です。
従業員が介護休業を取得できるように、職場の環境を整えた中小企業の事業主や勤労形態の制度を導入し、従業員に介護休業を取得させた中小企業の事業主に支給されます。
育児休業等支援コース
育児休業等支援コースは、性別に関係なく育児を行うすべての従業員が育児に関する休暇の取得がしやすいように、職場の環境を整えることを目的とする制度です。
育児休業等支援コースで、助成金が支給される条件は以下の3つです。
- 従業員の育児休暇や育児休業の取得・職場復帰に取り組んだ場合
- 代替要員を準備したうえで、休暇取得者を職場復帰させた場合
- 仕事と家庭の両立が難しい職場復帰後の時期に支援を行った場合
上記3つの条件いずれかに当てはまる場合には、助成金が支給されます。
介護離職防止支援コースと同様に、中小企業の事業主が対象です。
不妊治療両立支援コース
不妊治療両立支援コースとは、不妊治療を行うために休暇や両立の支援制度を導入して、利用しやすいように職場の環境を整備することを目的とする制度です。
主に、以下の6つの制度を組み合わせて導入します。
- 不妊治療を行うための休暇制度
- 所定外労働制限制度
- 時差出勤制度
- 短時間勤務制度
- フレックスタイム制
- テレワーク制
不妊治療両立支援コースも、中小企業の事業主が対象の制度です。
新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援コース
このコースは、新型コロナウイルスに感染したことにより医師から休業が必要と診断された妊娠中の女性が、安心して休暇を取得できることを目的とする制度です。
休暇を取得したあとも職場復帰ができるように、職場の環境を整えたうえで正規雇用や非正規雇用に関係なく、妊娠中の女性の労働者に休暇を取得させた企業に支給されます。
新型コロナウイルス感染症に関する、母性健康管理措置の内容を労働者に周知をした事業主が、女性の労働者に対して合計20日以上休暇を取得した場合が該当します。
ただし、この助成金の申請は令和5年5月31日までとなるため、申請を考えている場合は期限を過ぎないように注意しましょう。
両立支援等助成金の申請方法
両立支援等助成金の申請方法は、各コースによって異なります。
ここからは、どのような書類が必要なのかも含めて、詳しく紹介します。
出生時両立支援コースの申請
出生時両立支援コースを申請する場合には、育児休暇を取得した日の15日後から2か月以内に申請をしなければなりません。
2人目以降に生まれた子どものときに申請する場合には、特定区分期間を経過する日の次の日から2か月以内とされています。
また、申請には両立支援等助成金(出生時両立支援コース)支給申請書の原本や就業規則の写しなど、9種類の書類が必要です。
書類が不足している場合や不備がある場合には、申請の受付ができないため注意しましょう。
出生時両立支援コースは、申請事業主の本社の管轄を行っている都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に申請をします。
介護離職防止支援コースの申請
介護離職防止支援コースを申請する場合にも、申請期限が決められています。
申請期限は、介護休業を取得する対象者が休業を終了した日から1か月経過する日の、翌日から2か月以内です。
申請には、両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)支給申請書や就業規則の写しなど、8種類の書類が必要です。
書類の不足や不備がある場合には申請ができないため、必要な書類に記載する事項を確認することをおすすめします。
介護離職防止支援コースを申請する場合には、申請事業主の本社を管轄している都道府県労働局雇用環境・均等部(室)まで書類を提出します。
申請期間に注意して、書類を準備しましょう。
育児休業等支援コースの申請
育児休業等支援コースの申請は、育児休暇を取得する対象者が育児休業を始めた日から3か月を経過する日の翌日から2か月以内が期限です。
申請には、両立支援等助成金(育児休業等支援コース)支給申請書や育休支援復帰プランなど、10種類の書類が必要です。
準備する書類の数が多いため、不足がないように確認しておきましょう。
すべての書類の準備ができれば、申請事業主の本社を管轄している都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へと提出します。
書類に不足や不備がなければ、申請の受付は完了です。
不妊治療両立支援コースの申請
不妊治療両立支援コースは、不妊治療による休暇を取得する対象者が休暇を始めてからの期間の6日目から2か月以内が申請期限とされています。
必要な書類は、両立支援等助成金(不妊治療両立支援コース)支給申請書や不妊治療休暇・両立支援制度に係る労使協定など、22種類が必要です。
不妊治療両立支援コースの申請で必要な書類の一覧が、厚生労働省によって公開されているので、ぜひ確認してみてください。
書類をすべて揃えたら、申請事業主の本社を管轄している都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に提出します。
新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援コースの申請
新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援コースは、休暇が対象者の休暇日の6日目から令和5年5月31日までが申請期限です。
申請には8つの要件を確認できる書類が必要です。
受理されると、1事業所内で5人まで1人当たり28万5,000円が支給されます。
両立支援等助成金とは仕事と家庭の両立を支援する制度のこと
両立支援等助成金とは、仕事と家庭の両立を支援するために厚生労働省が行っている制度のことです。
育児や介護で必要な休暇制度を取得しやすいように、企業が職場の環境を整えるための支援を受けられるので、職場改善を考えている事業主様におすすめです。
両立支援等助成金には5つのコースがあり、それぞれの特徴や申請方法が異なります。
詳細は厚生労働省が公開している「2022年度両立支援等助成金のご案内」を参考にしてみてください。
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