先日、ある病院に行きましたが、「看護師Aさんの採血は毎回痛くて仕方がない。Bさんの採血は全然痛くないのに。」こんな話が待合室で噂となっていました。本当にそうなのかなと様子を見ていると、確かにAさんの採血では皆さん痛そうな顔をしていますが、Bさんの採血では痛そうにする人は一人もいませんでした。どちらの看護師さんも当然資格を持っていますし、毎回必要な量を採血できています。一見マニュアル通りにできているように見えるのですが、Aさんに何かが欠けているのは誰の目から見ても明らかです。
同じように、あるコンビニではいつ行ってもお客さんが多く、商品もたくさん陳列されていますが、同じチェーンでも別の店舗では、いつ行っても陳列棚に商品が少ないコンビニがあります。商品が売れて在庫が少ないのであればいいことだと思いますが、常時商品の少ないコンビニは廃棄処分を減らすことを見越して、仕入れを抑えていました。どちらのコンビニもマニュアル通りに仕事ができている結果だと思いますが、後者のコンビニは先ほどの看護師さん同様に何かが欠如しています。
技術はあるものの、相手の痛みに気付いていない看護師さん。廃棄を少なくするために仕入れを調整し、お客さんの購入機会を逸しているコンビニ。どちらも共通するのは、マニュアルに沿ったサービスは提供できているものの、その先に居る相手の立場に立った行動ができていないという点です。私たちのサービスや商品を受ける相手は何を求めているのでしょうか?サービスを受ける側でなく、供給する立場から見て効率的な行動になってはいないでしょうか。技術や効率化よりも大切な相手目線。年度替わりのタイミングでもある今、相手目線のサービスが提供できているか、今一度確かめてみては如何でしょうか。(代表取締役 高橋智仁)