春と言えば新入社員を迎える季節ですが、教育という観点では、既存社員も「入社から〇年目」と振り返り、社歴や成長を実感する節目ではないでしょうか。
新卒への教育であれば、社会人としての心得的な面からスタートしますが、5年10年と経験を積んだメンバーや基礎が備わっている中途組には、より実践的な教育が必要となります。更に中核層の育成となると、管理職や幹部、経営者が担当されていることと思いますが、そうした中で育てていく過程、もしくはその先に私たちが意識しておきたいことについて今回はお伝えしたいと思います。
新人教育ではそこまで感じないと思いますが、中核層を教育していく過程やその先で、育成を担当する私たちに待ち受けているものがあります。それは、私たちの自己重要感の変化です。メンバーの成長を願い教育していく中で、当初は確認や相談の依頼も多く、「〇〇さん、お願いします!」と頼られる喜びや、充実感を感じることも多いのではないでしょうか。しかし、メンバーが成長するにつれて、頼られる頻度や範囲が徐々に減少し、いずれ無くなる時がやってきます。存在感や自己重要感を感じる育成ではありますが、その延長線上に頼られなくなることや、教育している私たちをも超えていく日が来ることを想定し、それを理解した上で全てを教示できるでしょうか?
これは私自身も含め、育成に携わるすべての先輩や上司、経営者に必要な視点だと思います。経験という点では、メンバーよりも私たちの方が勝っているかもしれませんが、経験だけでは埋められないものも必ず出てきます。こうした葛藤の中で私たちが目の前の自己重要感ではなく、より良い組織や会社になるための教育をイメージできるか?メンバーの成長、組織の成長という点で、私たちが天井を作っていないか?組織の健全な成長のためにも、保身とならない育成を心掛けていきたいものです。(代表取締役 高橋智仁)